ifi Audio NEO iDSDレビュー

この記事は約9分で読めます。

ZEN DACを2ヶ月弱ほど使用していて概ね満足していたのですが、本格的な据え置きDACアンプの構成にしたくなったので、上位機種であるNEO iDSDに買い替えました。

1週間ほど使用したのでレビューしてみようと思います。

(ZEN DACのレビュー記事はこちらを参照して下さい)

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ifi Audioとは

イギリスのハイエンドオーディオメーカーAMR(Abbingdon Music Research)から派生した、エントリーユーザーをターゲットにしたブランドとなります。

※AMRの製品は数十万以上するものばかりです。

ポタアンの人気商品、micro iDSDシリーズでifi Audioの名前は知っているという方はいらっしゃるかもしれません。

また、伝説的なオーディオエンジニア、ジョン・カール氏が技術顧問に就任したことでも話題となっています。

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NEO iDSDについて

ifiの据置DACアンプのラインナップは、

  • 2万円のZEN DAC
  • 42万円のPro iDSD

となっており、製品ラインナップに大きなギャップがありましたが、NEO iDSDはその中間を埋めるために投入された製品で、先ほど述べたジョン・カール氏がアナログ出力回りの設計に関わっているそうです。

日本の販売代理店・TopWingとオーディオ評論家・土方氏によるレビュー動画でこの辺りの事を述べているので、ご興味がある方はご覧になって下さい。

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音質

イヤホン・ヘッドホン

  • CampFireAudio ANDROMEDA(バランス接続)
  • Shure SE846(バランス接続)
  • Beyerdynamic T5P 2nd Generation(アンバランス接続)
  • Fostex T60(アンバランス接続)

以上の機器をNEO iDSDに繋げ試聴しました。

音源ソースはMac、接続はUSBです。

結論から言えばZEN DAC(+ZEN CAN)の上位互換の音だなという印象で、ifiらしいクリアかつ解像度が高い音で、ZEN DAC(+ZEN CAN)よりは2〜3割は音質が向上していると思います。

具体的には

  • より音が精細になっている(隠れていた音が新たに見つかる)
  • 駆動力が高く、全帯域の音の出力に余裕がある

という違いは感じられました。

ただ、感動するような劇的な変化ではなく、イヤホンやヘッドホンのポテンシャルをより引き出した音になったとお考え頂ければと思います。

スピーカー

JBL Professional 104 BTをバランス接続し試聴しました。

音源ソースは先ほどと同様Macです。

接続するにあたりXLR(メス)→TRS端子のケーブルが必要ですが、Amazonで見かけるそのメーカーどこ?な安価なケーブルではなく、ちゃんとしたメーカーのケーブルにしたかったので、オヤイデ電気のケーブルを購入し繋いでいます。

OFC 4N(無酸素銅、純度99.9999%)のケーブルで、2.0mだと4千円台後半とお求めやすい価格だと思います。

NEO by OYAIDE Elec d+ XFT class B 2.0m オーディオケーブル
多彩な音楽環境に対応する次世代音声ケーブル ○ライブやクラブなどでの使用はもとより、制作・リスニング環境などにも適した次世代音声ケーブル アナログ全盛の時代のように数多くの機器による配線が減り、ノイズレスになってきた現代の環境ではケーブルに求めるニーズも変化しています。 d+シリーズの音声ケーブルはデジタル機器を有する...

ヘッドホンやイヤホンでの試聴ほど音の細やかさの違いは分かりませんでしたが、駆動力が上がっているので、全帯域の音の出力に厚みが出ているのは感じます。

OFCケーブルなので特に中低音域の厚みが増した印象です、高域の厚みを増したい場合は銀メッキ銅線のケーブルをチョイスした方がいいかもしれません。

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駆動力

このDACアンプの購入と合わせ、能率が悪く鳴らしにくいと評判の平面駆動型ヘッドホン、Fostex T60RPも購入したので、こちらで駆動力をチェックしてみました。

インピーダンスこそ50Ωと値は小さいですが、92dB/mWという変換効率の低さから、600Ω級のヘッドホンを鳴らし切る駆動力が必要と言われているヘッドホンです。

※レビュー記事はこちらになります、ご覧になって頂けると幸いです。

結論から言えば駆動力はまったく問題なく、余裕で鳴らし切っています。

Beyerdynamic T1/T1 2nd(600Ω)でも余裕だと思います。

楽曲再生ソフト(または機器)側の音量設定によって数値が変わると思いますが、-25〜-35dbくらいで必要十分な音量は取れています。

(能率のいいBeyerdynamic T5p 2ndでは-45〜-55db)

ちなみにNEO iDSDにはゲイン切替機能は搭載されていませんが、アンプ回路見直しにより、高感度イヤホンから低感度ヘッドホンまで問題なく対応出来るように内部でパワーをコントロールしているそうです。

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いいところ

筐体がコンパクトで質感が非常によい

同価格帯のライバル製品に比べ、筐体がコンパクトです。

ZEN DACでもそうですが、コンパクトな筐体でこれだけの音質の製品を作ったなとifiの技術力に感心させられます。

※余談ですがifiは製品の基盤画像をWebサイトに公開しているメーカーでして、基盤(回路)設計技術の自信が伺えます。

iFi audio NEO iDSD
DSD512/PCM768/MQAフルデコード対応フルバランスDACアンプ

横置き、縦置き双方に対応(設置向きによって液晶の表示向きも自動で変更されます)していて、縦置きにすると設置スペースを節約できる点が非常に気に入っています。

このおかげでディスプレイとスピーカースタンドの僅かなスペースが有効活用できました。

筐体の素材ですが、恐らくはアルミ製だと思います。

高級感があり質感も良く、剛性も非常にしっかりしたものとなっています。

音量調整が細かく出来る

ZEN DACに比べ音量調整が非常に細かく音量調整できます。

高感度イヤホンの代名詞、Andromedaで微量な音量まで調整しリスニングすることが出来ました。

凄いことだと思います。

ギャングエラーが発生しない

ここが一番驚いた点です。

ギャングエラーが発生しないので、極小まで音量を絞ったリスニングが可能です。

高感度イヤホン・Andromedaで、音が微かに聴こえるかどうかまで音量を絞った場合でもギャングエラーは発生しません。

ヘッドホンでも同様です。

※ZEN DACやZEN CANだと不可。

小音量にして楽曲を聴きながら作業に集中したいことが多々ある自分としては、非常にありがたいポイントとなります。

入出力I/Fが豊富

NEO iDSDの製品ページをご覧頂ければお分かりと思いますが、ZEN DACやZEN CANより入力I/Fが豊富です。

出力I/Fも、

  • 背面側はRCAとXLRを搭載
  • 前面のヘッドホン出力は、6.3mmシングルエンド端子、4.4mmバランス端子を搭載

と十分です。

バランス出力I/Fは高額なDACアンプにしか搭載されていないことが多いのですが、NEO iDSD(ZEN DAC/ZEN CAN)には搭載されています。

このあたりが、ここ最近発売されたifi製品がコスパが高いと評価されているポイントなんだと思います。

特に着目頂きたいのが背面のバランス出力I/Fで、ZEN DACやZEN CANでは4.4mm端子だったのに対し、NEO iDSDはXLR端子が採用され、よりスピーカーに接続しやすいI/Fになっている点です。

これが今回NEO iDSD購入に踏み切った理由でもあります。

標準でiPower(ACアダプタ)が付いている

このACアダプタですが、電流ノイズに対し逆位相のノイズを当てて電流ノイズを打ち消し、DACアンプ内部に流れる電力をクリーンにし音質劣化を防ぐ機能があるのですが、¥7,000弱とそこそこなお値段します。

iFi-Audio DC電源アダプター(15V) iPower 15V
iFi-Audio DC電源アダプター(15V) iPower 15V

特にACアダプタによる電力供給が前提となっているZEN CANをお使いの場合は、このACアダプタを別途購入する必要があるのですが、NEO iDSDは標準で付属しています。

地味ですが結構嬉しいポイントだなと思います。

Bluetooth再生の音質もよい

Bluetooth機能も搭載されているので、試しに手持ちのiPhoneをBluetooth接続し楽曲を再生しましたが、音質は非常に良かったです。

Bluetooth接続・再生していると言われなければ分からないレベルだと思います。

対応コーデックですが、当記事執筆時の2021年5月時点でリリースされているコーデックは全て対応しています。

排他制御対応

ZEN DACやZEN CANはスピーカー再生中にヘッドホンを繋げても、スピーカー/ヘッドホン双方で楽曲が再生されていましたが(非排他制御)、NEO iDSDではヘッドホンを繋げるとスピーカー側の楽曲再生が止み、ヘッドホンからのみ楽曲が再生されます(排他制御)。

私は正直どちらでもよいのですが、ZEN DACやZEN CANの非排他制御が運用に合わなかった方にはNEO iDSDはいいかもしれません。

発熱しない

排熱用の通気口はないにも関わらず筐体を触っても全く熱くないです。

回路設計の良さが効いているんだと思います。

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気になる点

リモコンで電源ON/OFFができない

筐体本体側ではボタン操作により電源ON/OFFできますが、付属品のリモコンには電源ON/OFFボタンが付いていません。

コスト削減なのか分かりませんが少し残念です。

出力切替ができない

入力元は本体操作やリモコンで切り替えられるのですが、出力先については切替機能がありません。

ヘッドホン/スピーカー双方繋がっている場合は、出力切替機能でどちらに楽曲再生をするか、明示的に操作できた方が便利かもしれません。

ヘッドホンを抜けば済むだけの話ですが、頻繁に抜き差しする運用だと、ヘッドホンコネクタ側に負担掛かって耐久性が心配になります。

イヤホンではホワイトノイズが聴こえる

これは仕方がないと言えば仕方ないですが、イヤホンだと再生停止ホワイトノイズが聞こえます。

※ZEN DACよりはノイズの音量は小さいです。

楽曲再生中はホワイトノイズは全く聴こえないので私は気にはなりませんが、気になる方は気になるかもしれません。

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まとめ

ミドルクラスの価格帯の据置DACアンプで、スピーカー/ヘッドホン双方で楽曲再生をされる方はNEO iDSDは候補に上げてもよい機種だと思います。

音質の良さや高い駆動力、入出力I/Fの充実度を考えると、同価格帯のライバル製品よりアドバンテージがある製品だと感じます。

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